• EDLC/活性炭/電解液/コイン型/大型/瞬低補償装置/系統安定化装置/リチウムイオンキャパシタ/次世代P-EDLC/海外動向

刊行にあたって

 2006年初夏,ここに来てキャパシタが益々熱くなってきている。環境性と経済性が両立できるエネルギーデバイスとして注目をあつめているキャパシタが新たな展開をみせている。これまで,エネルギー密度的には今一つであった従来型の活性炭EDLCは,どんどん進化している。最近提案されている次世代大容量キャパシタは,その作動電圧が,2.7Vから3~4V級へ向上,エネルギー密度も10Wh/kgから20Wh/kg超へと,大幅な向上をみせている。市場もこれに伴って従来の枠にとどまらず,密かに拡大の一途を辿っている。
 その背景には,ナノテク電極材料の大幅な進化,正負極非対称型の電極構成,リチウムイオン電池で開発された要素技術の導入,イオン液体などの新規電解液の開発などが挙げられる。それらのR&Dの現状ついては,本書の各章に詳細に述べられているので参照していただきたいが,その技術的なレベルは日夜向上している。
 近年の大容量キャパシタはその蓄電機構が,より電池に近いもの(ファラデー反応を利用した)も多く見られる。新型のキャパシタは,「キャパシタ」なのか「電池」なのか,その定義はますます曖昧になってきており,従来の概念では明確に区別することは難しい。それらのキャパシタは「シュードキャパシタ」などと呼ばれている。しかし,キャパシタと称する以上は,(1)パワー密度が高い,(2)サイクル寿命が長い,(3)安全性が高いなどの3つの特徴を犠牲にすることなく,大容量化が果たされていかなければならない。これらをクリアーするのは容易なことではないが,今後の新型大容量キャパシタの課題である。大容量化に伴って,量産化,低コスト化が進めば益々その市場は広がるものと予想され,今後,期待される。

2006年7月3日  東京農工大学大学院 直井勝彦

著者一覧

西野敦    西野技術士事務所 所長 技術士
直井勝彦   東京農工大学大学院 共生科学技術研究院 教授
荻原信宏   東京農工大学大学院 共生科学技術研究院 助手
前野徹郎   クラレケミカル(株) 開発室 室長
宮原道寿   (株)クレハ 総合研究所 電材研究室 室長 技術士(化学)
猪飼慶三   新日本石油(株) 研究開発本部 開発部 炭素利用プロジェクトグループ グループマネージャー
清家英雄   三洋化成工業(株) 開発研究本部 エネルギーデバイス材料研究部 ユニットチーフ
千葉一美   日本カーリット(株) R&Dセンター 研究員
森英和    日本ゼオン(株) 総合開発センター インキュベーションセンター 主席研究員
山川雅裕   日本ゼオン(株) 総合開発センター インキュベーションセンター 主席研究員
和田徹也   電気化学工業(株) 有機・高分子部門事業企画 課長
三浦和也   (株)ゼロム 開発本部 技術部 執行役員 技術部長
絹田精鎮   (株)オプトニクス精密 代表取締役
澁谷治男   プライミクス(株) 乳化分散技術研究所 執行役員
神保敏一   エルナー(株) 技術開発部 DLCグループ グループリーダー
青木良康   昭栄エレクトロニクス(株) 開発センター センター長
松井啓真   (株)指月電機製作所 開発本部 FARADCAP技術部 部長
竹重秀文   (株)指月電機製作所 開発本部 FARADCAP技術部
内 秀則   日本ケミコン(株) 基礎研究センター 取締役 基礎研究センター長
吉澤久美   日本ケミコン(株) 基礎研究センター 先端技術戦略部 主管
黒木伸郎   ニチコン(株) 長野工場 電気二重層技術部 統括部長
岸和人    (株)リコー 研究開発本部 先端技術研究所 環境技術研究室 主幹研究員
植田喜延   (株)明電舎 社会システム事業本部 電力・施設事業部 電力ソリューション営業技術部 ソリューション技術課 主任
小池哲夫   日野自動車(株) HV開発部 主査
Jin-Woo,Hur   Vina Technology Co., Ltd. Researcher
白石壮志   群馬大学大学院 工学研究科 ナノ材料システム工学専攻 助手
立花和宏   山形大学 工学部 物質化学工学科 助教授
江頭 港   山口大学 大学院理工学研究科 助教授
森田昌行   山口大学 大学院理工学研究科 教授
野原愼士   大阪府立大学 大学院工学研究科 物質・化学系専攻 応用化学分野 講師
井上博史   大阪府立大学 大学院工学研究科 物質・化学系専攻 応用化学分野 教授
岩倉千秋   大阪府立大学 名誉教授
杉本渉    信州大学 繊維学部 精密素材工学科 助手
坂井伸行   (独)物質・材料研究機構(現在:東京大学 生産技術研究所 助手)
佐々木高義   (独)物質・材料研究機構 ナノスケール物質センター センター長
張鐘賢    東京農工大学大学院 共生科学技術研究院 PD.
五十嵐吉幸  東京農工大学大学院 共生科学技術研究院 助手
John R.Miller  JME,Incorporated President
Chi-Chang Hu  National Chung Cheng University,Department of Chemical Engineering Professor
Andrew F. Burke  Research faculty in the Institute of Transportation Studies,University of California-Davis